2012.11.24

ふるさと

 昨日まで北海道に帰省していた。行きのフライトは窓側の席。羽田を発つ前夜遅くまで仕事に追われていたので、読書もそこそこにうたた寝していた。

 ふと何かを感じて目覚め、窓の外を見る。さっきまで雲に視界を遮られていた眼下の海が一瞬、紺青の姿を見せた。そして海岸沿いの陸地も。目を離せなくなった。上空から見ると広い埋め立て地のような地面。ところどころに建物はあるものの、土がむき出しだ。しかし、内陸は集落が寄り添うようにみっしりと続いている。

 言葉で言い表せない想いを心のなかでつぶやいた。

 しばらくすると下北半島が見えてきたから、あの海岸は岩手北部だったのだろうか。やがて北海道の上空になり、故郷の旭川が近づくにつれて涙が止まらなくなった。多くの命が奪われた痕跡に。日常を奪われた人々の苦悩と再び立ちあがろうとしている希望に。そして、わが故郷が雪に覆われつつも、確かに変わらずそこにあることに。

 顔も知らない人々が少しでも穏やかに日々の暮らしを営み、今日も一歩を踏みだすことを願って。


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2012.10.08

一枚の皿

 洗いものをしているとき、ふと思いだす笑顔があります。

 かれこれ20年近く前、古くから家族ぐるみのおつきあいをしていたある家のおばさまから、お気に入りの窯元で見つけてきたという皿とマグカップをいただきました。マグカップはその後何度も引っ越しをするうちに割ってしまったのですが、皿はいまだに使い続けています。

 長さ30cmほどの葉っぱのかたち。渋みのある青が白身魚を引き立てるので、刺身やカルパッチョを食べるときに出番の多い皿です。厚みがあって大きさのわりにずっしりと重く、洗ってしっかり乾かしたあとは両手で支えるように持ちながら食器棚の下段にしまいます。

「なおみちゃんにもらってほしくて」

 実家を出て働いていたわたしがたまたま帰省していると知ったおばさまが、わたしの実家とは川を挟んで反対側にあるお家からわざわざ車をとばして届けにきてくれました。それは、もうすぐ新しい生活を始めるわたしへの贈りものでした。

 こちらも短い帰省でしたし、おばさまも忙しいなか時間を割いて来てくれたようでわたしの実家にもあがらずじまい。お礼の言葉もあわただしく、最後に何を話したのかも覚えていません。ただあのときのおばさまの笑顔、色白で優しいまなざしのあのお顔だけが記憶に残っています。そして、青い皿を手に取るたびに思いだすのです。

 年齢を重ねるにつれて忘れてしまうことは多いけれど、過ぎ去りし時間に挟まれながらも、いつでも手に取れる、どこにあるかわかっている本のような記憶も数多く思い出の棚に並んでいます。あのとき肩越しに振り返りながら帰っていったおばさまの姿は、そんないつでも蘇る遠い記憶のひとつです。

 それから数年して、ある日突然おばさまとのお別れがやってきました。青い皿と優しい笑顔を遺して。
 おばさまからいまのわたしが見えているだろうか。それともご自分のお子さんやお孫さんを見守るのに忙しくしているだろうか――そんなことを考えた休日の午後でした。
 
 
 
 
 

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2011.03.25

3.11から2週間経って

 最初の地震から7~10日くらいを境にして、ここ神奈川での余震は減ってきたように感じます。少なくとも震度3くらいの一瞬どきりとする強さの揺れはかなり少なくなりました。

 いつも体が揺れている気がして、寝ているときもぐらーんぐらーんと床が揺れている感覚がなかなか抜けない。少し波が高いときにフェリーの三等船室で寝ている感じです。ちょっと気分が悪くて、まるで船酔いしているみたい――と思っていたら、「地震酔い」という言葉があるのですね。ああ、まさしくそれ。

 余震の減少とともに夜間に目覚める回数も減ってきました。もういまは震度1なら目覚めないのですが、横で寝ている凛は怖いらしく、前足で掛け布団をつついてわたしを起こします。そして、どのみちすぐ隣りに寝ているのに、わたしの敷き布団に少しスペースをつくらせて、そこに体を乗せて寝直すのです。掛け布団越しですが飼い主と密着していること、それが彼女の精神安定剤らしいです。

 揺れへの警戒が薄まるにつれて(気象庁は引き続き余震に注意をとアナウンスしていますが)、関心は否応なく原発に向けられます。いまのところ食べものにも水にも困らないものの、問題が長期化するにつれて影響を受けることは必至。2週間経って、非日常が日常になりつつあるいま、毎日、不安と期待の入り交じった思いで原発関連のニュースを観ています。

 

2月の写真だけど。
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ちょっと雪が降っていた。お手をしてみた。
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着ているランニングはこれ。盲導犬協会のサポートショップで購入。かーさんは盲導犬と介助犬のサポートショップでときどき買いものをしているんだって。
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赤1枚、黄色2枚を買ったらしいよ。
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2011.03.16

余震のなかで

 昼夜を問わず断続的に揺れ続ける大地。
 被災地の惨状を思えば、少々の余震にびくびくするなんて情けないぞとは思うのですが、余震の震源が南下してきたなとか、原発付近の避難・屋内待避範囲が広がったなとか、自分ではどうにもできない事態への漠とした不安が募ります。

 そんななかで、きょうは嬉しい知らせがふたつ飛びこんできました。気仙沼で被災した同業者とご家族が無事でお家も倒壊していないとのこと。そして、お世話になっている編集者の故郷、石巻のご両親が避難所でお元気だとのこと――よかった。ほんとうによかった。

 震災の影響は大なり小なりもはや全国に飛び火しています。首都圏だけではなく関西でも米などの買い占めが始まったとか。

 漠とした不安が広がり続けているいま、こんな言葉で巣立つ教え子を送り出す校長先生がいます。ぜひ最後まで読んでいただきたいです。

 卒業式を中止した立教新座高校3年生諸君へ。

 時化のときも凪のときも海は目の前に広がっている。そのときどきにどう海と対峙するのか。人生の折り返し地点を過ぎてもまだ考え中です。
 
 
 
 
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「凛が余震に怯えるので、かーさんがなるべく家にいてくれます」
 
 
 


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2011.03.14

停電と電話とtwitter

 わが家はきょうから輪番停電にはいります。東京電力のアナウンスによると、とりあえず4月末までの予定とのこと。

 きょうはすでに固定電話、携帯電話ともつながりにくくなっています。メールは遅達気味ですが、PC・携帯アドレスともになんとか使えます。いままでブログのサイドバーには出していませんでしたが、twitterを表示させることにしました。アカウントは@naolynneです。

 と書いているあいだにまた揺れました。震度3です。いつもならどうってことのない揺れですが、毎日揺れ続けていると、このくらいでもひやりとします。揺れ始めた瞬間は、すわ、いよいよ最大余震かと不気味でたまりません。

 電気がないと仕事ができないとはいえ、被災地のかたたちを思うと、停電も電話の不通も不便だなどと言っていられません。仕事部屋以外の電力消費は極力おさえて過ごしています。
 
 
 
 
11日の揺れがかなり怖かったらしく、凛は地震のたびにわたしを探しにきます。
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2011.03.13

東北関東大震災

 余震が続いています。11日よりは回数が減ったように感じますが、震度1あるかどうかの微弱な揺れも含めると、1時間に何度も揺れを体感します。

 地震当時は自宅の書斎で仕事中でした。六畳間に本棚が並ぶ、よりによってわが家でいちばん危険な部屋です。わが家は地盤がやや弱いのか、地震のときはいつも公表された震度より揺れたように感じます。今回も平積みの本の山が総崩れし、本棚の上に載せていたものなども落ちましたが、幸い本棚は倒れませんでした。転倒防止の突っ張り棒がいくらか役立っていました。

 いまのところ自宅で過ごし、ライフラインもふだん通りです。今後、停電があるかもしれませんが、数時間程度の停電なら難なく過ごせる程度の準備をしてあります。東京近辺にいる身内の無事も確認できました。心配してメールをくれたお友だちのみなさん、ありがとうございました。

 被災地に同業のかたとご家族がいます。メールやtwitter、mixi、Googleのperson finderなどを使って同業者仲間で連絡を取りあっていますが、まだ安否がわかりません。仕事でお世話になっているかたのご実家も被災地にあります。いまは、ただ無事を祈ることしかできません。

 横になっても余震で何度も目がさめます。小さい震度で長く揺れる余震もあり、目眩がしているような乗り物酔いしているような時間が続いています。唯一いいことは、震度2くらいの揺れになると、凛がわたしを探しに来て、自分から書斎の机か居間のテーブルの下にはいるようになったことです。

 被害がこれ以上広がりませんように。被災地に少しでも救援の手が届きますように。
 


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2010.09.15

【18歳以下必見】「真夏の読書探偵」コンクール

翻訳ミステリー大賞シンジケートが18歳以下を対象に読書コンクールを開催中です。

といっても、学校の先生に褒められるような読書感想文を書く必要はなし。長さや年齢制限などほんのちょっぴりのルールを守れば、スタイル自由、書く内容はもちろん自由。
すごーく好きな本があるんだけど、夏休みの宿題の読書感想文には書けなかったなぁ、なんていう作品も大歓迎なんですって。
そんな本の感想をおもしろがって読んでくれるオトナが審査員です。

今年初めて開催されるコンクールなので、まだライバルが少ないみたいですよ。
入賞者は図書券がもらえるとか!
(うーん、年齢を偽って応募したいくらいだ。でも入賞できなかったらショックだなぁ)

18歳以下のみなさん、ぜひ挑戦してみて。このお知らせをご覧になったオトナのみなさんは、ぜひ18歳以下の若き読書人たちに知らせてあげてください。

詳しくは下のリンク先をのぞいてみてくださいね。

「真夏の読書探偵」コンクール
 
 

今日はチョット涼しかったsign01 
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2010.09.06

まだまだ残暑。

 かれこれ1カ月半の休眠になってしまいました。

 関東は少なくとも9月半ばまで厳しい暑さが続くとのこと。健康優良児(!)なワタクシも、この夏はさすがにバテました。観測史上最高の暑さになった今夏は梅干しとフルーツ酢ドリンクで頑張ってます。早く秋を実感したい……

 あまりに休眠が続いたので、このブログでしか近況をお伝えしていないお仕事関係のかた、お友だちのみなさんにはご心配をおかけしました。ちょっぴり夏バテはしたものの、元気です。先月夏休みもとりました。メール、メッセージ等々、お気遣いありがとうございます。もうしばらく休眠するかもしれませんが、少し余裕ができたらブログにも復帰します。

 twitterにはときどき書き込みしているので、ユーザーのかたはのぞいてやってください。ユーザーネームは@naolynneです。

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2009.11.27

ミステリな師走間近

 11月も残すところあとわずか。
 ここまで来ると、年末年始はすぐそこですね。
 と妙にあせるのは、あれもこれも遅れている自分のせいかしらん。

 12月には、出版翻訳関係者の忘年会があります。
 わたしが出席予定なのはミステリ忘年会とノンフィクション忘年会。
 もっとも今年はスケジュールが詰まっており、行けるかどうか怪しいのですが。

 ミステリ忘年会では、第1回「翻訳ミステリー大賞」(公式ブログ)の1次投票結果が発表になります。
 今月末の締め切りまでにもう新刊ミステリを読む余裕がなく、先週投票をすませました。今年は話題作が多く、ほんとうに迷ったあげく、最後は直感で選んだ3作品に投票。さてさて、どんな結果になるのか楽しみです。
 投票案内メールを受信されたみなさま、もう投票されましたか? 3作品を選べないかたは、1作品だけでも投票できるそうですよ。11月末日まで1次投票受付中です。


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わが家のお嬢さまったら、またしても毎日お散歩する公園が「コワイコワイ病」を発症。
リードをぐいぐい引っぱって、彼女が安全だと思う場所に行こうとします。
自宅方向とか、天敵ワンコの家がない住宅街とか。
ただでさえ気疲れするお散歩に、お嬢さまの強力な「引き」がはいり、
飼い主はへろへろです……
 
 

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2009.11.13

メールフォーム

 いままで使っていたメールフォームのシステム変更を機会に、メール連絡方法を変えてみました。

 トップページ左上(黒い犬の写真の下)に「メール送信」欄をつくりましたので、こちらからご連絡をお願いいたします。

 旧メールフォームからいただいた各種問い合わせには、すでにお答えしております。まだ返信がない場合は、メールフォームの不調が考えられますので、お手数ですが「メール送信」欄より再度送信をお願いいたします。

 尚、スパムメール等の対策のため、ブログ上で公開するアドレスはときどき変えています。

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