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2008.04.30

逃げる犬

 凛の数少ない芸のレパートリーに「は~い」があります。

 なんのことはない、わたしが「おやつ欲しい人~? は~い」と言ったら、目の前でオスワリしている凛が左前足を〈挙手〉するというだけなんですが。これがなかなかカワイイ(←かなり親×か)

 ところで、凛は少し前から左耳の入り口に小さな傷をつくり、治りかけの傷を掻いて悪化させてしまいました。そのため動物病院で耳の洗浄と消毒をしてもらうことに。

 少し前に最初の洗浄にいったとき、それはそれは悲しそうな哀れな声で「怖いですぅ~。放してください~」とほとんど悲鳴のような声をだしていた凛。注射は平気だし、獣医さんにはだいたいどこでも触らせるけれど、耳のなかだけは苦手だもんね。それは知ってる。だが、あの声はすごすぎ。きっと待合室にいたほかのワンコたちは、奥の部屋でどんな恐ろしいことが行われているかと思ったにちがいない。ってくらい哀れな泣き声でした。

 それから10日後の昨日のこと。

 いつもは尻尾ふりふりで病院にはいっていくのに、昨日は病院の前で「いやです。はいりたいないですっ」と前足をふんばって抵抗しました。
 どうにか待合室まで連れていくと、終始不安そうな表情で、奥から泣き叫ぶ声が聞こえるたびにびくり、またびくり。そのあと、「凛は痛くないよね?」と問いたげにわたしの顔を見つめます。

 むむむ。たいして痛くないだろうけれど、かなり怖いかもねぇ。なんせ耳の洗浄だからねぇ……と言いたいところをぐっとこらえ、「だいじょうぶ、だいじょうぶ」と撫でてやりました。

 1時間は待たされかというとき、ようやく名前を呼ばれました。

「片山さ~ん。片山凛ちゃ~ん」

 そのとき凛は病院の玄関から出ようとしました。その瞬間を見ていた獣医さんいわく、最初の「片山さ~ん」で凛はもう逃げだそうとしていたとか。自分の名字を覚えているんですね、と感心されました。

 ふと思いあたることがありました。最近、自宅で「片山凛ちゃ~ん? は~い」をしていたせいか、凛は自分は「カタヤマ リン」だと思っていたのではないかと。

 せっかく獣医さんが長い時間おりこうに待っていたねと褒めてくれたのに、そのあと診察台にのせられた凛は前回と同じように怯え、治療が終わるまで悲鳴のような声を出し続けていました。隣の診察台でおとなしく診察を受けていたシーズー犬の哀れむような視線が悲しかった。

 洗浄と薬がきいて、耳の傷はかなり小さくなりました。でも、またあんなに泣かれるかと思うと、半月後の再診がユーウツです。

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《視線の先にあるものは?》

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2008.04.09

聞きわける犬

 帰宅した家族の足音だとか、自分の家の車の音を聞きわけるという犬の話をよく聞きます。

 凛の場合、自分の家の車はもちろんのこと、宅配便とネットスーパーと生協の配達車の音を聞きわけます!

 わたしは自宅にこもって仕事をしているので、本や原稿のやりとりのほか、通販やらネットスーパーに注文したものの配達で、ほぼ毎日、多いときは一日に3~4回、その手の車が来ます。

 とくに凛のお気に入りは宅配便Y社のトラック。凛が二階にいるときにわが家の前にぴたっと止まると、インターホンが鳴る前に全速力で階段を駆けおり、トラックがよく見える一階のベランダに直行します。

 ほかの宅配会社のときはインターホンが鳴ってからベランダに行くのに、なぜY社にだけ敏感に反応するのか。飼い主にはよくわかりません。とにかくベランダまで猛ダッシュするのです。ときにはゆうらゆうらとしっぽを振りながら、Y社のドライバーのお兄さんが次の配達先に向かうのを眺めています。

 配達以外でインターホンが鳴ったときにも、誰が来たのかベランダまでようすを見にいくくせに、なぜか生協の個配の車が来たときは無反応。生協の配達が来るころ、わたしは仕事に没頭していることが多く、インターホンが鳴っても応答しないのです。配達先が留守のときは玄関先に置いていってくれますから、あとで荷物を家のなかに入れていました。そんなことが何度か続いたのち、凛まで「生協の車が止まる→インターホンが鳴る→知らんぷり」となってしまいました。
 ううむ。飼い主の行動がしっかり観察されているなぁ。

 ニンゲンの食料に混じって、たまに凛のおやつも届くせいか、ネットスーパーの配達車も大好き。いまのところインターホンが鳴ってから反応することのほうが多いですが、ときどき車の音を聞きつけてベランダに直行し、じっとわたしの顔を見て「来たよ」と教えます。

 そう、凛はいろんなことを目で教えます。何かを訴えるときはわたしをじっと見て気づいてくれるのを待つのです。トイレに行きたいとか、切羽詰まった用のときはぴいぴい鳴くこともありますが、そんなときですら、まずは玄関をじっと見て、それからわたしを見つめて「お外に連れていってください」と訴えます。凛が家のなかで吠えるということがほとんどないので、わが家はほんとうに静かです。


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《ぼんやりしているようで、じつはよく観察している目》

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2008.04.02

遠くに友を持つ犬

 去年の秋、凛の最愛の人(わんこ)、アラスカン・マラミュートのワラビくんが飼い主さんのお引っ越しで遠くに行ってしまいました。ワラビくんはマラミュートにしては小ぶりだということでしたが、それでもまわりのわんこたちより大きくて立派な体をしている、強くて優しいいい子だったので、わたしも大好きでした。

 先日、そのワラビくんの飼い主さんから近況を知らせるハガキが届きました。夕方のお散歩から帰り、郵便受けにハガキを見つけたわたしが「あ、ワラちゃんだっ!」と言ったら、必死に見まわす凛。まさか、まだワラちゃんを覚えているの? あれからもう半年以上経つのに……

 ワラちゃん一家のお引っ越し直後、わが家ではしばらく「ワラちゃん」は禁句でした。凛は彼をあまりに好きなので、思いがけないところで名前を聞くと、ぴいぴい鳴いて彼を探すのです。その声があまりに切なくて、不憫で。

 でも、まさかまだ「ワラちゃん」に反応するとは。驚きです。禁句の期間延長をしなければ。

 凛にはほかにもたくさんお友だちがいるけれど、子犬のときから毎日凛の相手をしてくれたワラちゃんは、特別な存在。凛がとびつこうが、顔をべろべろべろべろべろべろ(←とにかくしつこかった)なめようが、挙げ句の果てに横たわるワラちゃんの脇腹をジャンプ台にして飛びあがろうが、まったく怒らない。凛のすべてを受けいれてくれる、ほんとうの兄犬のようでした。

 そのワラちゃん、新しい環境になかなかなじめずにいたものの、最近は何匹か大型犬のお友だちができたとか。ハガキには「でも、凛ちゃんほどワラビに果敢に向かってきてくれる子はいません」と書いてありました(苦笑)。
 ワラちゃん、なんだかわたしまで会いたくなっちゃったなぁ。


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 引っ越し直前のワラちゃん。ねっ、イケメンでしょ。

 飼い主たちが別れを惜しんでいたその日、うちのおてんば娘が何をしていたかと言うと……

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 何かを要求して、リードをぐいぐい引っぱっていました。
 ワラちゃん、よくぞこいつの相手をしてくれました……しみじみ。

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