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2005.10.27

「……」

 気がつくと一日じゅう同じ歌をうたっていることがあります。洗面所で手を洗いながら、ベランダで洗濯物を干しながら、台所で食器を洗いながら。

 仕事中も――原稿をプリントアウトしながら、出版社に送るものを梱包しながら、新聞の切り抜きをしながら。

 その日の気分に合ったメロディーや、たまたま耳に入った曲を繰り返し口ずさんでいるようです。
 で、先日、ちょっとした作業をしながらうたっていたのがこれ。

「お肌の お肌の まがりかど~」(〈たき火〉のメロディで)

 なんていう替え歌なんでしょ。
 たしかに今年はトシも考えずに無防備に肌を焼き、シミもコジワもたくさんつくりましたよ、まあ、しょうがないよね、じっさい太陽のしたで遊んでいたんだから……。
 でも、本人が思っている以上に、肌へのダメージを気にしていたのかも。うわ~、恐るべし深層心理。

「……」

 自分の歌に絶句したのち、しばらく口を閉じておとなしく作業を続けました。

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2005.10.24

野望その1

 その後、寒くなる前にと、自宅の外回りのあれこれを優先させていたので、残り10個の引越ダンボールがなかなか片づきません。(かなり苦しい言いわけ?)

 新居の巣づくりが遅々として進まないなか、今回の家を借りたときに抱いた野望その1を達成。庭につる薔薇の苗を植えたのです。よく引越をするし、薔薇なんて難しそう、と敬遠していたのですけれどね。でも、自他ともに認める英国かぶれのワタクシ、せっかく庭があるのにもったいない!と思いきって苗を買ってしまいました。目指せ、英国風庭園!

 苗の通販サイトによると、「アンジェラ」という美しい名前のその薔薇は、多花性で中輪の花が株を覆うようにびっしりと咲くのだとか。(わ、得した気分。)

 おまけに四季咲きで、ピンクから淡いピンクに花色を変化させながら、絶え間なく咲き続けるそうです。(ほー、かなり得した気分。)

 さらにきわめつけの売り文句がこれ。「枝もやわらかく、初心者におすすめ」。(おお、これは買うしかない。)

――というわけで、道路に面した庭囲いの鉄柵にアンジェラのつるをつたわせました。実家の母親は長年庭で薔薇を育ててきましたが、娘のわたしはマンションのベランダでミニバラをプランターに植えた薔薇歴しかありません。ですから初心者向け、大歓迎。ほんとうは鉄製のアーチを買って庭に置き、そこにも苗を植えたかったのだけど、なにせ初心者ですもの、手を出しすぎて世話をしきれなくなる可能性もあり。泣く泣く諦めました……が、来年うまく花が咲いたら、調子に乗ってアーチを買ってしまう可能性もあり。

 アンジェラはまだ寂しい枝ぶりですが、春になったらすくすくと伸び、来夏までには美しい花を咲かせてくれるはず。鉄柵の内側からつたわせたつるが、柵の上を越えて道路側に垂れる日が待ち遠しいです。

 そして、野望その1があるということは、その2もあります。とーぜん。その2はひょっとすると来月中旬くらいに大願(?)成就するかも。

 この週末にアラン・ファースト著『影の王国』を読了。各章は独立した4つの中編小説のようで、それぞれ単独でも楽しめます。ページから匂いたつような大戦前夜の空気。いいなあ。とてもおもしろかった。歴史、恋愛、友情、愛国心。さまざまな要素が盛りこまれています。スパイものはあまり読まない人も、この作品ならいけるのでは。ハメット賞受賞作。

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2005.10.13

そろそろ本格始動

 7月末に北海道から神奈川県に引越して以来、毎日片づけやら各種手続きやらに追われ、まだそのあれこれがすっかり済んではいないものの、なんとなく(というか、やっと)落ち着きはじめています。まだダンボール10個くらい残っているし、引越はがきもこれからなのですが。

 今月下旬はフランクフルト・ブックフェアが開催されます。例年、10月以降はリーディングの依頼数が増え、そのまま年明けの翻訳作業になだれ込む季節。夏から仕事はのんびりモードで進めていましたが、さあ、そろそろまじめに働かないと。

 週末から読みはじめた『百番目の男』を読了。をを、そうきたか。最後にびっくりするという噂は本当でした。警察版『羊たちの沈黙』にルヘイン(レヘイン)の『シャッター・アイランド』を加えたような雰囲気、とでもいったらいいでしょうか。

 パソコンの横に年末のミステリ・ベスト投票までに読みたい翻訳ミステリの山……まだまだ崩せそうにありません。

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2005.10.11

教師

 高校の入学式を控えたある日のこと、わたしの親とつきあいのあったある高校の先生から電話をもらいました。その先生(仮にA先生としましょう)は、自分がこれから1年間担任を持つクラスのなかにわたしと同じ中学出身の男子生徒Bくんがいるので、「彼がどういう生徒なのか知りたくて」電話をかけた、と言いました。

 父親が教員で、自宅は父の同僚のたまり場だったので、わたしは「先生」をごく間近に見て育ちました。ときには、PTAにはこんな姿を見せられないだろうなと思う先生もいましたが、多くの先生はわが家に集まる大好きな優しいおじさん、おばさんたちでした。

 その教師という人種に深く失望したのは、十五の春をなんとかのりきったあの日の電話がきっかけでした。

 中学時代、わたしの同期と1年上の男子生徒たちのあいだである問題が起こり、全国紙に小さな記事が載りました。A先生は自分が担任を持つ生徒がその事件にかかわったかどうか、日ごろの生活態度はどうなのかを知りたがったのです。「あなたから見て彼はどんな同級生だったか」と。

 あのとき名指しされたBくんがその事件にいくらかかかわっていたのは知っていましたし、中学校の先生や同級生たちが彼をどんな目で見ていたかもよくわかっていました。そもそもわたし自身、彼と違う高校に進み、せいせいしていました。

 それでも、内申書からは読めないBくんのふだんの姿をA先生に話す気にはなれませんでした。ベテラン教師なんだから、あの程度のツッパリが来てもあたふたせず、どーんと構えていてよ――そんな生意気な批判がBくんへの嫌悪感に勝ったのです。

 だって中学時代に悪ガキだったとしても、ひょっとしたら高校入学と同時に心を入れ替えるかもしれないじゃありませんか。それなのにはじめから色眼鏡で見られたら、生徒はぜったいに救われない。

 勉強にしろスポーツにしろ、どんなに先生が指導したところで、最終的には生徒ひとりひとりが自力で道を切りひらいていかなければなりません。その道筋をつけたり、目標を達成するためのヒントを与えるのが教師ではないかと思います。

 わたしはいままで多くのすばらしい先生に出会いましたし、いまも連絡をとりつづけている小学校時代の恩師もいます。大学で教職課程を履修し、自分が卒業した高校で教育実習も経験して、短期間でしたが教師という仕事のやりがいも感じました。けれども、けっきょく教員採用試験を受けなかったのは、十五の春の失望があまりに大きかったせいです。

 教育現場の実情を知らない者の戯言だと思われるかもしれません。でも、先生はなるべくまっさらな状態で新しい生徒を受け入れてほしい。知人の娘に電話してまで、事前に素行調査をするような先生でいてほしくない――先日、教職の難しさ、現場が抱える問題を聞く機会があり、そんなことをつらつらと考えました。

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2005.10.03

遅い夏休み

 半月以上もブログを更新していませんでした。

 9月下旬はちょっと遅い夏休みをとり、マレーシア・ランカウイ島へ。2、3年に1度、1週間くらい滞在しているリゾートホテルで昼寝と読書三昧。ひたすらプールサイドのデッキチェアにごろ~、ぐた~っと好きなポーズで寝転がっていたら、真っ黒になってしまいました。仰向けになって本を読んでいた時間が長かったらしく、妙に体の前面が焼けています。ちりちりと焦げる音が聞こえてきそうなウェルダンのボディ。これから日焼けの皮がむけるのがこわいけど、いいお休みでした。

 休み中に読んでいたのはS・J・ローザンの〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズなど。8月にシリーズ6作目の『春を待つ谷間で』が出たので、1作目から読みかえしたのです。

 このシリーズは奇数巻が女性のリディア、偶数巻が男性のビルの視点で描かれているという珍しい作品で、巻ごとに交代で両者の目を通してストーリーが進行するため、物語の展開を俯瞰で眺めているような気分になります。ただいま6作目の途中を読んでいるところ。どちらかというと、わたしはビルが主人公になる偶数巻のほうが好き。
 リディアと中国人社会、ビルとピアノ――ふたりの人生のコアにあるものが作品の背景を埋める味わい深い色彩になっているシリーズです。

S・J・ローザン 〈リディア・チン&ビル・スミス〉シリーズ
1.『チャイナタウン』
2.『ピアノ・ソナタ』
3.『新生の街』
4.『どこよりも冷たいところ』
5.『苦い祝宴』
6.『春を待つ谷間で』

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