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2005.06.14

 今日は朝から青空。家じゅうの窓をあけたままにしておくと、ときおり、ひゅうと風が吹き抜けます。ああ、いい気持ち。風とともに山の緑まで目前まで近づいてくるような気がします。

 このところ外出する機会が多く、その移動中や待ち時間に読んでいたのが『沈黙/アビシニアン』(古川日出男著)。恥ずかしながら日本推理作家協会賞長編賞とSF大賞を受賞した『アラビアの夜の種族』を未読なのですが、とりあえず文庫化されている作品から古川日出男ワールドを味わいました。

『沈黙~』は「沈黙」とそのスピンオフ(と言ってもいい)「アビシニアン」の2作を1冊にまとめたものです。
「沈黙」は主人公の美大生がふとしたきっかけで家族の歴史に深くのめりこみ、そこに潜む謎の核心に少しずつ近づいていくミステリ仕立ての小説。「アビシニアン」は保健所に連れていかれた愛猫と再会を果たした10代の少女が、ごく自然に路上で生きる道を選び、一方シナリオを書く大学生の青年が行きつけのダイニング・バーでウェイトレスをする少女と出会って引かれあう恋愛小説。
 どちらかというと前者は現在と過去の縦の流れを、後者は横に並ぶまったく異質な世界を有機的に結合させている感じでしょうか。しかし、あるイメージや観念で結びついているだけの一見して不安定な結合であり、それでいてある種の確信を持って、ふたつのピースの大きなかたまりをきっちりとかみあわせているように思えます。そんな印象を持ったのは、2作がスピンオフの体裁をとっているせいもあるかもしれません。とにかく作品全体にイメージが、ことばが溢れています。たんに饒舌な文体とは対局にある、滑らかでよどみのない弁舌。これはいい。『アラビア~』も早く読まなければ。

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Comments

こんにちは。コメントありがとうございます!
そうですか~、やはりおもしろいですか~。
早く読みたくてウズウズしてきました。

Posted by: 片山 | 2005.06.16 at 10:27

『アラビアの夜の種族』、読みかけです。おもしろいですよ。『千夜一夜物語』同様、入れ子(マトリョーシカ)状態のお話です。

Posted by: IWAN-WANIAN | 2005.06.15 at 00:02

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