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2004.12.17

12月のコーヒー

 師走の雑踏を歩くうちに、ふと駅前通りに近いビルの2階にある喫茶店に足が向きました。20代のころ、仕事に疲れるとときどき避難していたその店は、その日の客の雰囲気に合わせてカップを選んでくれることで知られていました。1年ぶりくらいで再訪すると、新米らしいアルバイトの女性がカウンターのなかにいました。マスターや先輩にあれこれ指示されながら、一杯ずつ丁寧にコーヒーをいれています。

 今日、わたしが注文したのはアイリッシュ・コーヒー。午後のまだ早い時間でしたが、風邪気味だったので。新米の彼女がアルコールをとばしたコーヒーに、濃厚な生クリームをホイップさせて浮かべてくれたカップは小花模様でした。ねえ、かわいすぎやしませんか。わたし、四捨五入すると四十ですよ。

 ちらりと彼女の顔を見ると、真剣な表情でもう次のコーヒーをいれています。そっか、客の顔を見ている余裕はまだないのね。でも、小花模様のかわいらしいカップは、この1年いろんなことがあってちょっぴりくたびれていたわたしには、ちいさなちいさなご褒美のように思えました。

 丁寧にいれられたコーヒーをじっくり味わいながら、しばし本のページをめくりました。さて、そろそろ帰らねば。「ごちそうさまでした」。

「ありがとうございました」と微笑むマスターのそばで、彼女はあいかわらずコーヒーしか見えていないようでした。マスター、来月、金曜日の同じ時間、彼女がいれてくれるコーヒーをもう1度飲みにきますね。誰かに一所懸命に何かをしてもらうことの嬉しさを、彼女が思い出させてくれたから。

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