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2004.05.13

 同窓――同じ学校で学んだこと。また、その人。(大辞林より)

 ここ1年ほど、高校の同窓会・同期会に顔を出しています。卒業してから20年近い年月を経て会う同期生たち。それでも、同期会で会うと高校時代に戻って「~くん」「~ちゃん」と呼びあう不思議な親近感がわいてきます。ただ同じ校舎で同じ風景を眺めながら3年間を過ごしただけのつながりなのに、この妙に懐かしく居心地のいい空間はなんなのでしょう。

 わたしが卒業した高校は、地方都市のいわゆる進学校でした。授業なんてろくに聞いていない(ように見える)のに、いざテストをすると「え、なんでそんなに点とれるの?」と思わずにいられない勉強の天才が大勢いました。けっして出来のいいほうではなかったわたしから見ると、そんな彼・彼女らがどれほどまぶしかったことか。
 同期会で連絡先を交換しては、「こんど米軍の戦闘機のことで質問させて」と防衛庁職員の某くんに無理やり頼み、「肩こりがひどいのだけど、どうしたらいい?」と整形外科医の某くんにメールし、「在外公館の暮らしってどんな感じ?」とミーハーまるだしで外交官夫人の某さんに話しかけ――いやはや頼もしい同期でありがたいような、「困ったときには相談にのってね」とお願いすることしかできないわが身が情けないような。翻訳者なんて、友だちの役に立ちそうにないですもんね。

 今週は同窓会の幹事会に出席しました。同期会とは違い、なかには自分の親より年上の大先輩もいらっしゃいます。13期上の女性の先輩は、同窓会総会の幹事当番で忙しく過ごした去年、幹事仲間の同期と不思議な結びつきを感じたとおっしゃっていました。「同期生って男性でもない、女性でもない、第3の“せい”なのよね」
 ああ、そうか。同期会で味わうあの心地よさの正体が、ちょっとだけわかったような気がしました。高校を卒業したあとの長い時間に成長した同期の仲間は、同性とも異性ともいえない魅力にあふれ、やはりいまもわたしの目にまぶしく見えていたのです。
 幹事会の帰り際、札幌で医院を開業していらっしゃるという17期上の先輩が声をかけてくださいました。自分は勉強をしたから医師になれたし、有名大学を卒業して社会でそれなりの地位についている同窓生も多い。だけど、安定した生活にはない夢も見たい気分なんだ。きみたちのような仕事についている同窓生を応援するよ――温かいことばに感謝しつつ、不出来な後輩だけれど、先輩の励ましに恥じない訳書を出したいと思った夜でした。

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